「お客様は神様です」のこころ”
三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。
客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのです。
真意と離れて使われる時には、
例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう感じ。
「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。
“クレーマー”の恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。大体クレーマーたるや、「お客様」と「様」を付けて呼んで貰えるような人たちではないと思います。
サービスする側を 見下すような人たちには、様は付かないでしょう。
三波春夫の舞台を観るために客席に座る方々の姿は、『三波の歌を楽しもう、ショウを観てリフレッシュしよう』と、きちんと聴いてくださった「お客様」だったのです。
「歌う時に、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。
演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです」